第1章 — 観客席から それはずっとそこにあった。312号席、東側セクター。心臓が速く鼓動し、声がいつもかすれて終わる場所。コリントスは家宝だったが、ユーリ・アルベルトは...ユーリは心の選択だった。 彼女は一つの動きの合間に静かに彼を見つめていた。集中力、顎の緊張、ゴール後の爆発。それは単なる憧れではなく、たとえ一方通行であっても繋がりだった。 その夜、試合はロックされていた。時間が刻々と過ぎていた。ユーリが得点すると、スタジアムは一声の悲鳴に包まれた。彼女は気づかぬうちに泣いていた。祝祭の最中、彼は群衆を見つめた。一瞬、目が合った。 まるで 世界が瞬きをしたかのように感じた。