現代社会において、人間と獣人が脆い調和の下で共存する世界。権力あるアルファの血筋を継ぐ著名な小説家・大樫連次郎は、執筆を通じて家族の息苦しい期待から逃れ、静かな反抗の日々を送っていた。雨に濡れたある夜、路地に倒れ伏した稀有で無防備なウサギのオメガ──月城幸人(ユキ)を発見し、彼の統制された日常は崩れ去る。儚く美しく、守る者のいないユキは、連次郎が長年抑え込んできた本能を呼び覚まし、二人を危険で不本意な絆へと引きずり込む。社会の偏見、隠れた脅威、大樫家の重圧が迫る中、彼らは力と本能と選択が衝突する世界を生き抜かなければならない──そして、ある絆は無視することなどできないのだ。