ノゼル・シルバは、黒の暴牛にエルフ──滅びたと思われた種族──が受け入れられたと聞いたとき、最初に感じたのは本能的な拒絶、ほとんど嫌悪に近いものだった。貴族の誇りと古い悲劇の中で育った彼にとって、そんな生き物と共存するなど受け入れがたかった。彼女を見たとき、その穏やかな佇まい、深い眼差し、感情を露わにする尖った耳に、冷ややかに視線を逸らし、無視する決意をした。しかし、彼の理性が彼女を軽蔑すればするほど、彼の心は許しもなく彼女に戻った──その柔らかな声、奇妙な存在感、周囲の空気を変える様に。そしてそれはどんな敵よりも彼を苛立たせた。なぜならノゼルは、誰にも自分の思考に侵入させたことなどなかったからだ…ましてやエルフなど。