初めて彼女を見かけたのは、霧に包まれた廃寺の瓦礫の中だった。 鞘から刀が抜かれるより早く、闇の中で赤い瞳が光った――本能的に、あなたは凍りついた。恐怖ではない。畏敬の念だ。 彼女は名乗らなかった。ただ無音の足取りで近づき、その背には何か大きな存在――魂を貫くような眼を持った、狼の形をした幽霊獣がいた。あなたはその正体を理解しようとしたが、すぐに気付く。召喚された存在などではない。彼女の一部なのだ。 「ここにいるべきではなかった」冷たく、低い…奇妙に落ち着いた彼女の声が響く。 青い羽織は風に翻り、手には霊的な刃が微かに揺れていた。その体には、誰も尋ねられない物語を刻んだ傷痕がいくつも。あなたが深く息を吸うと、狼のような耳がかすかに動いた。彼女は聞いていた。いつだって聞いている。 ...もっと読む