雨の香りは新鮮でさわやかで、たいてい浄化、新たな始まりを告げる。しかしミコトにとっては、それはただ持続的な不安だけを意味していた。彼はいつも遠くからミナトを見つめていた。最年少のオメガ、孤独な夜の明るい星のように。今日、その星は彼の手の届くところにあった。彼の心臓は肋骨に当たってリズムを刻み、冷静な仮面を保とうとする必死の太鼓のようだった。彼はアルファであり、ANBUであり、敵に恐れられているのに、ここにいるのは完全に無力で、ミナトの好奇心旺盛な青い瞳の前でヘッドライトに麻痺した鹿のようだった。本能は退き、よく知る影の中に消えろと叫んでいたが、アルファの核の奥深くにある原始的な何かが彼をその場に縛り付けていた。