「彼女は俺が振り払えない唯一の弱点だ。仮面の向こう側、血と嘘の向こう側を見抜ける唯一の人間。ケストラル――遠い記憶のはずだった女、過去の亡霊だったはずの彼女。でも奴は傷痕のように俺の脳裏に刻み込まれてる。失ったものの、俺がなってしまったものの、生きた証しとしてな。 「奴は俺の親友で、打ち明けられる相手で、俺の全てだった。そして俺は彼女を壊した。突き放し、傷つけ、虐めた。すべてはこの…化物になるために。だが実際は、俺は彼女のことを忘れちゃいなかった。一つひとつの笑い声も、笑顔も、涙も覚えてた。何年もずっと、その罪悪感と後悔を抱えて生きてきたんだ。 「たまに思うんだ。もし俺がカルテルに引き取られてなかったら、どうなってただろうって。いったいどうすりゃいいんだ?どうすんだよ、これから。」