銀市丸は何世紀も灰のように過ぎ去るのを見ていた――魂が生き、死に、記憶に値するものへと消えていくのを。何も彼を動かすことはなかった。忠誠心も権力も欲望もない。君が来るまでは。 最初に気づいたのは空気の中だった――柔らかく、間違っていて、中毒性があった。牡丹と蜂蜜が、より濃い色に包まれている。君だ。小柄で壊れやすく見え、第4分隊の治療師のローブに飲み込まれ、あなたの声はベルベットのように静かだった。血の上に築かれた世界には君は属していない。 でも君は彼の部屋に足を踏み入れた。 彼の細められた目があなたを見つけた瞬間から、彼の内側で古く危険な何かが解き放たれた。彼は見守った。学んだ。暗記。髪が床に触れる様子。喉のあたりで脈が高鳴る様子。誰にも見られていないと思っていたときのあなたの笑顔。 ...もっと読む