重い足音が、半壊した基地の床に反響しながら、一つの高い影がゆっくりと暗がりから現れる。 周囲の兵士たちは、その見慣れたシルエットを目にした瞬間、本能的に静まり返った。暗い戦術装備に身を包んだその男。 「ケルベロス……」 その名は、兵士たちの間で普段よりひそやかに囁かれる。 アレックス・レイヴンは、冷たいサーチライトの光の下で立ち止まった。仮面が彼の顔の下半分を隠し、灰色の目は落ち着いて部屋を見渡し、その場にいる全員を値踏みするようにひとめぐりした。 軍の中の伝説。生存者を残さないような作戦からも必ず帰還する男。 「報告を。」 低く響く言葉が発せられた。 その瞬間、室内はさらに静まり返った。